RAGの設計力とは?プロンプトと文脈の最適化で生成精度を高める方法|LLM入門 第6章

第6章 設計の現場:プロンプトと文脈の設計

ここまでの章では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の構成要素とそれを支えるツール・サービスについて、概念から具体的な技術選定までを見てきました。

しかし、いざRAGを「業務で使える形で構築する」となると、もう一つ重要な領域が見えてきます。それが本章のテーマである、プロンプトと文脈の設計です。

どれだけ高性能なLLMを用い、どれだけ精度の高い検索を行ったとしても、Retrieverから取得した文書をどのように整形し、どのような構文でLLMに渡すかによって、回答の品質や正確性、再現性は大きく変わります。

この第6章では、実運用レベルで成果を出すためのプロンプト設計・コンテキスト設計の要点を、以下の4つのセクションに分けて解説します。

 

6.1 MCPとの関連性と役割分担

RAGにおける「Retriever=検索」と「LLM=生成」の間に、どのような役割分担が存在するのか。MCP(Model Context Protocol)という考え方と関連づけながら、設計の視点を整理します。

 

6.2 質問の正規化とドキュメントマッチング

ユーザーからの自然文の質問を、意味的に整理し、適切な文書と対応させるための「正規化」やマッチングのテクニックについて解説します。Embeddingの前処理としての設計も含みます。

 

6.3 Retrieval後のプロンプト合成パターン

Retrieverで得た文書チャンクを、どうプロンプトに組み込むか?代表的なテンプレートの構成、出力形式の誘導方法、複数文書の整理方法など、現場で使える設計パターンを紹介します。

 

6.4 入力長・トークン制限との戦い

LLMには必ず「トークン上限」があり、それを超える入力は処理できません。この制限の中で最も関連性の高い情報を選別し、適切に圧縮・省略する技術と設計の考え方を説明します。

 

プロンプトと文脈の設計は、単なる技術ではなく「設計力」の領域です。
この章を通じて、RAGを機能的な部品の組み合わせとしてだけでなく、
「どの情報を、どの形で、どのタイミングで渡すか」という対話システム設計の本質へと、もう一歩踏み込んでいきましょう。

それではまず、次のセクション「6.1 MCPとの関連性と役割分担」 からはじめます。

公開日: 2025-02-26
最終更新日: 2025-05-25
バージョン: 2

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。

チーム

任 弘毅

株式会社レシートローラーにて開発とサポートを担当。POSレジやShopifyアプリ開発の経験を活かし、業務のデジタル化を促進。

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。