1.3 プロジェクトと日常業務の違いとは?|特徴・比較・実務での見極め方

1.3 プロジェクトと日常業務の違い

プロジェクトマネージメントを学ぶ上で、まず明確にしておきたいのが「プロジェクト」と「日常業務(ルーチンワーク)」の違いです。
両者は似ている部分もありますが、その性質や目的は大きく異なります。この違いを理解することで、どのような場面でプロジェクトマネージメントが必要になるのかが見えてきます。

日常業務とは?

日常業務とは、組織やチームが日々継続的に行っている反復的な作業を指します。
たとえば以下のような活動が該当します:

  • 定期的な報告書の作成
  • お客様からの問い合わせ対応
  • 経理処理や勤怠管理
  • 商品の受発注・在庫管理

これらは「同じ手順で繰り返し実施される業務」であり、通常は業務マニュアルや業務フローが整備されており、効率や安定性が重視されます。

プロジェクトとは?

一方、プロジェクトは「明確なゴールに向かって」「一定期間だけ行われる」「一度きりの活動」であり、以下のような特徴があります:

  • 新しい製品やサービスの開発
  • 業務プロセスの改革・システム導入
  • イベントやキャンペーンの企画・実施
  • 新店舗の立ち上げやリニューアル

プロジェクトでは、前例のないことに取り組む場合も多く、状況に応じて柔軟な判断や調整が求められます。そのため、日常業務よりも不確実性が高く、関係者との調整も複雑になる傾向があります。

比較表:プロジェクト vs 日常業務

項目 プロジェクト 日常業務
目的 明確な成果を生み出す 安定した業務の継続
期間 一時的(開始と終了がある) 継続的(定期的に繰り返す)
内容 非定型・変動的 定型・反復的
管理指標 納期・成果物・コスト・品質 効率・件数・対応スピード
マネージメントの主眼 変化への対応・完了への導き 安定性・品質の維持

なぜこの違いが大事なのか?

「これはプロジェクトか?日常業務か?」を意識することは、仕事の進め方を正しく選ぶ上で非常に重要です。
たとえば、新しい業務フローを導入するという一時的な活動に、日常業務のやり方(その場しのぎ、属人的な対応)で取り組んでしまうと、関係者の混乱やトラブルの温床になってしまいます。

逆に、「これはプロジェクトだ」と認識した上で、計画・リスク管理・進捗確認・振り返りなどのマネージメント手法を適用すれば、成果につながる確率は格段に高まります。

まとめ:役割に応じたアプローチを

日常業務とプロジェクトでは、求められる視点も手法も異なります。
どちらが重要かではなく、「目的に合った進め方を選べているか」が問われます。

そして、プロジェクトにはプロジェクトのやり方があり、それを支えるのがプロジェクトマネージメントです。次章からは、実際のプロジェクトがどのように進んでいくのか、そのライフサイクルを見ていきましょう。

→ 第2章「プロジェクトのライフサイクル」へ続く

公開日: 2024-12-05

下田 昌平

株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。

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下田 昌平

株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。