2.0 プロジェクトの進め方|4つのフェーズと工程の違い

2.0 プロジェクトの進め方|4つのフェーズと工程の違い

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プロジェクトは、どういう順で進んでいくのか

プロジェクトには、性質の違う4つの区間があります。立ち上げ・計画・実行・終結です。順番に並んではいますが、大事なのは順番そのものではありません。区切りごとに「このまま進めてよいか」を判断できることが、この分け方の目的です。

はじめてこのページに来た方へ このページは全10章のチュートリアルの第2章です。プロジェクトそのものの定義から知りたい方は第1章をどうぞ。専門用語はすべてページ下部の「このページで使った言葉」で説明しています。

この記事の要点

  • 4つの区間は、立ち上げ・計画・実行・終結です。それぞれ「決めること」がまったく違います。
  • 「フェーズ」と「工程」は別の話です。要件定義・基本設計・製造・テストは工程で、管理の区間とは軸が違います。
  • 区切りの価値は、そこで止める判断ができることにあります。通過儀礼にすると、ただの日付になります。
  • 実際には計画と実行を何度も行き来します。行き来すること自体は失敗ではありません。
  • いちばん飛ばされやすいのは終結です。誰も困らないので、静かに飛ばされます。

4つの区間と、それぞれが薄いときに起きること

この4つは、作業の種類ではなく判断の種類で分かれています。立ち上げは「やるかどうか」、計画は「どうやるか」、実行は「ずれをどう直すか」、終結は「渡しきれたか」を扱います。

プロジェクトの4つの区間と、それぞれが薄いときに起きること 2.1立ち上げは、何のためにやるのか、誰が決める人なのかを固める区間です。ここが薄いと、目的が人によって違うまま進み、終盤になって「そもそも何のためだったか」に戻ります。2.2計画は、何を、どの順で、誰がやるのかを目に見える形にする区間です。ここが薄いと、誰が誰を待っているのかが見えず、実際に待ちが起きてから初めて気づきます。2.3実行は、進めながら計画とのずれを見つけて直していく区間です。ここが薄いと、進捗率だけが上がっていき、完了した成果物はいつまでも増えません。2.4終結は、受け取ってもらい、運用する人へ渡しきる区間です。ここが薄いと、検収も引き継ぎも終わらないまま次の案件が始まり、二重に走ることになります。 2.1 立ち上げ 何のためにやるのか、誰が決める人なのかを 固める区間 ここが薄いと 目的が人によって違うまま進み、終盤になって 「そもそも何のためだったか」に戻ります。 2.2 計画 何を、どの順で、誰がやるのかを 目に見える形にする区間 ここが薄いと 誰が誰を待っているのかが見えず、実際に 待ちが起きてから初めて気づきます。 2.3 実行 進めながら、計画とのずれを見つけて 直していく区間 ここが薄いと 進捗率だけが上がっていき、完了した成果物は いつまでも増えません。 2.4 終結 受け取ってもらい、運用する人へ 渡しきる区間 ここが薄いと 検収も引き継ぎも終わらないまま、次の案件が 始まり、二重に走ることになります。 図の順に進むように見えますが、実際には計画と実行を何度も行き来します。区切りが意味を持つのは、 そこで「このまま進めてよいか」を判断できるからで、順番を守ること自体に価値はありません。
各カードの上半分がその区間で決めること、下半分が薄かったときに起きることです。下半分に見覚えがある区間が、いま補強すべきところです。4つのうちどれかひとつを選ぶなら、いちばん上の「立ち上げ」が費用対効果で群を抜きます。

「フェーズ」と「工程」は別のものです

ここは日本の現場でとくに混乱しやすいところなので、先に整理しておきます。

要件定義・基本設計・詳細設計・製造・テスト——これは工程です。何をつくるかという作業の中身で分けたもので、システム開発の進め方(ウォーターフォール)の話です。

立ち上げ・計画・実行・終結——これは管理のフェーズです。プロジェクトをどう運ぶかという判断の中身で分けたもので、システム開発かどうかとは関係ありません。事務所の移転にも、新商品の発売にも、同じ4つがあります。

この2つは軸が違うので、重なります。たとえば「要件定義」という工程は、管理から見ると計画フェーズと実行フェーズにまたがります。アジャイルで進める場合、工程の並びは大きく変わりますが、管理の4つの区間はなくなりません。やり方が変わっても、決めなければならないことは変わらないからです。

区切りは、止められるから意味があります

フェーズを分ける実務上の理由はひとつです。そこで止める判断ができるからです。

計画が終わった時点で、見えているものは立ち上げのときとは違います。工数の見込みが倍になっているかもしれない。前提だった連携先が使えないと分かったかもしれない。この時点でやめれば、失うのは計画にかけた工数だけです。同じことに製造の途中で気づけば、失うものは桁が変わります。

ところが実際には、区切りが判断の場になっていないことが多くあります。フェーズ完了の報告会は開かれるが、そこで「やめる」という選択肢は最初から議題に入っていない。稟議が通っている以上やるものだ、という前提で進む。これは日本の組織に限った話ではありませんが、いったん決裁がおりたものを止めにくいという性質は、稟議という仕組みと相性が悪い方向に働きます。

実務的な折衷案としては、止めるかどうかではなく「規模を変えるかどうか」を議題にするやり方があります。全部やめる提案は通りませんが、「今回はここまでにして、残りは次期に回す」は通ります。これは3.1 スコープの決め方で扱います。

行き来するのは、失敗ではありません

図では4つが一直線に並んでいますが、実際のプロジェクトはそう進みません。実行の途中で前提が変わり、計画に戻る。戻った結果、スコープが変わり、立ち上げで決めた目的の言い方を直す。これは普通のことです。

問題になるのは、行き来すること自体ではなく、行き来したことが記録に残らないことです。計画を変えたのに、変えた理由も、変えた事実も、どこにも書かれていない。すると三か月後、当初の計画を見た人が「遅れている」と判断します。実際には遅れていなくても、記録がなければ説明できません。

だから、計画を変えたときは変更として残してください。「変更管理」という言葉は堅苦しく聞こえますが、やることはいつ・何を・なぜ変えたかを一行書くだけです。詳しくは6.2で扱います。

飛ばされるのは、いつも終結です

4つのうち、実務でいちばん扱いが雑になるのは終結です。理由ははっきりしていて、飛ばしても今日は誰も困らないからです。

納品が終われば、次の案件がもう始まっています。検収の依頼、運用する人への引き継ぎ、残った課題の引き取り先、ふりかえり——どれも「あとで」になり、そのまま消えます。そして次のプロジェクトで、前回とまったく同じところでつまずきます。

この構造は1.3で説明した力学とまったく同じです。今日困らないことは後回しになり、数か月後にまとめて表に出ます。

ABではこう見えます

AB Projectsでは、フェーズをそのままプロジェクト内の区切りとして持てます。区切りごとに「ここまで終わったら次に進む」という条件をタスクとして置いておけば、区切りが自動的に判断の場になります。何も置かなければ、区切りは資料の見出しにしかなりません。

行き来の記録は、プロジェクトWikiに1ページ持つのが簡単です。「変えたこと」だけを日付順に追記していく形にしておけば、あとから経緯を説明する場面で、記憶ではなく記録で話せます。

このページで使った言葉

フェーズ
プロジェクトを判断の種類で分けた区間です。立ち上げ・計画・実行・終結の4つが基本形で、進め方が変わってもこの4つはなくなりません。くわしく →
工程
作業の中身で分けた区間です。要件定義・基本設計・詳細設計・製造・テストという並びが、日本のシステム開発では標準になっています。くわしく →
ウォーターフォール
工程を上流から下流へ順に進める進め方です。前の工程が固まっていることを前提にするため、後から戻ると手戻りになります。くわしく →
検収
納めたものを相手が確認し、正式に受け取ることです。社外案件では支払いの起点になります。くわしく →
変更管理
決まっていたことを変えるときの手順です。変更を止める仕組みではなく、変更の影響を決める人に見せる仕組みです。くわしく →
ふりかえり
区切りごとに、進め方そのものを見直す場です。人ではなく進め方を対象にし、次に変える1つを決めて終わります。くわしく →

2.1 立ち上げ

決裁がおりた直後に、A4一枚で埋めておく5つの欄。

5.4 アジャイルとウォーターフォール

工程の並べ方が違うだけで、管理の4区間は共通です。

3.0 計画の基本

計画フェーズで具体的に何を決めるのか、その全体像。


公開日: 2024-12-06 最終更新日: 2026-07-28

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