2.1 立ち上げフェーズとは?|プロジェクトの第一歩とプロジェクト憲章の重要性

2.1 立ち上げフェーズ(Initiation)
プロジェクトのライフサイクルにおける第一歩が「立ち上げフェーズ」です。
このフェーズでは、プロジェクトを正式に開始するための“土台”をつくります。
ここでの判断や準備が不十分なまま進めると、後の計画や実行段階で方向性のズレやリスクの拡大につながるため、非常に重要なフェーズです。
目的:なぜこのフェーズが必要なのか?
立ち上げフェーズの目的は、以下の3点に集約されます:
- プロジェクトの正当性を確認する(やる意味があるか)
- 目的とスコープを初期的に定義する(何を達成するのか)
- 関係者間の合意形成を得る(誰が関わり、誰が承認するのか)
つまり、「このプロジェクトはやるべきだ」と経営層・ステークホルダーに納得してもらい、必要なリソース(人・時間・予算)を確保するための重要な判断が行われる段階です。
主な活動内容
立ち上げフェーズでは、以下のような活動が行われます:
- 背景・目的の整理(なぜこのプロジェクトが必要なのか)
- プロジェクト憲章(Project Charter)の作成
- 高レベルなスコープ・目標・成果物の明確化
- 関係者(ステークホルダー)の特定と影響度分析
- 責任者(プロジェクトマネージャー)の任命
- 初期的なリスクと制約条件の確認
- 承認(Go/No-Go)判断の取得
この段階で「何をするプロジェクトなのか」「成功の定義は何か」「誰が判断者で、誰が協力者か」を曖昧なままにしておくと、後々、意思決定が迷走する原因になります。
成果物:プロジェクト憲章(Project Charter)
立ち上げフェーズの代表的な成果物はプロジェクト憲章です。これは、プロジェクトの存在意義を文書化し、上位組織(経営層など)からの承認を得るための文書です。
典型的なプロジェクト憲章には、以下のような情報が含まれます:
- プロジェクト名と責任者
- 目的と背景
- スコープ(含まれるもの・含まれないもの)
- 主要なマイルストーンや期日
- 予算や初期リソース
- 関係者一覧
- 成功の指標(KPIなど)
この憲章が「このプロジェクトを正式に始める許可」となり、次の計画フェーズへと進む基盤になります。
注意点:このフェーズでありがちな落とし穴
- 目的が曖昧なまま承認される:後からスコープが拡大し、チームが疲弊
- 関係者が限定的:後になって「相談されていない」と不満が出る
- ゴールと手段が混同される:成果物をつくることが目的になり、本来の課題が解決されない
まとめ:成功の鍵は「合意形成」と「明文化」
立ち上げフェーズは、プロジェクトが走り出す前の“地ならし”です。
この段階で関係者の認識がずれていると、どれだけ優れた計画を立てても機能しません。
プロジェクトの正当性、目的、枠組みを明文化し、関係者全員の合意を得ることが、後のフェーズの成功を左右します。
→ 次は「2.2 計画フェーズ(Planning)」へ進みましょう。

下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。カテゴリー
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下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。