第9章 9.2 ← 9.0 よくある質問
明日から差し込める、小さな工夫を7つ
やり方は分かっている。でも忙しくて、何も変わらない。——この章はそこを狙って書いています。新しい時間は要りません。すでにやっている場面に、1文だけ足すやり方を7つ集めました。
この記事の要点
- 7つ全部やっても、1日に増える時間は10分ほどです。
- 効くのは長さではなく場所。すでにある場面に差し込むから続きます。
- 会議は、はじめに終わりの合図を言い、おわりに担当と期日を口に出します。
- 「持ち帰ります」と言われたら、内容ではなくいつ返るかだけ聞きます。
- 1つだけ選ぶなら、会議のおわりの30秒がいちばん効きます。
1. 朝いちばんに、期限切れだけを見る
朝、案件の全体を見直そうとすると、5分では終わりません。だから続きません。
見るのは期日を過ぎたものだけにします。ゼロなら終わり。1つあれば、その担当者に一言送るだけ。2分で片づきます。
これが効くのは、遅れが小さいうちに見つかるからです。8.2で見たとおり、遅れが致命的になるのは気づくのが遅れたときだけです。1日遅れの段階なら、たいてい声をかけるだけで戻ります。
2. 会議のはじめに、終わりの合図を先に言う
会議の冒頭で言うのは、この1文だけです。「今日は、移行方式をどちらにするかが決まったら終わりです」。
これがあると、話が逸れたときに戻す理由ができます。「その話も大事なので、別で時間を取りましょう」と言えるのは、今日決めることが宣言されているときだけです。
日本の定例会議が長くなりがちなのは、目的が「集まること」になっているからです。終わりの条件を先に置くだけで、平均して15分は短くなります。
3. 会議のおわりに、その場で担当と期日を口に出す
7つのうち1つだけ選ぶなら、これです。会議の最後の30秒で、決まったことを声に出して読み上げます。
「では、移行方式はBで進めます。データ件数の確認は田中さんが金曜まで。営業部への説明は私が来週火曜まで。以上でよろしいですか」。
ここで3つのことが同時に起きます。決まっていないことが見つかる。担当が空白のものが見つかる。そして誰も反対しなければ、それが合意になります。あとで議事録を書くより、その場で言うほうが確実です。→ 4.3 伝え方の設計
4. 依頼のメールは、期日から書く
日本語のビジネスメールは、たいてい前置きから始まります。「お世話になっております」「お忙しいところ恐れ入りますが」。そのあとに背景が2段落あって、依頼が最後に来ます。
読む側は、たいてい最後まで読みません。だから件名と1行目に、いつまでに何を、を置きます。
件名:【7/31まで】会員データの重複確認のお願い
本文1行目:7月31日(金)までに、添付の一覧で重複と思われる会員の確認をお願いできますでしょうか。
前置きは、そのあとに書けば失礼になりません。順番を変えるだけです。
5. 頼まれた瞬間に、「何を後ろへ回すか」を見せる
9.1のQ7と同じことを、その場でやります。持ち帰って考えてから断るのではなく、頼まれた瞬間に代償を出す。
「できます。ただ、いまの並びだと帳票の改修が2週間後ろにずれます。それでよければ入れます」。この一言で、相手は自分で判断できるようになります。そして半分くらいは「じゃあ後でいいです」になります。
大事なのは、断っていないことです。決めているのは相手なので、関係が悪くなりません。
6.「持ち帰ります」と言われたら、いつ返るかだけ聞く
持ち帰りそのものは、悪いことではありません。日本の組織では、その場で決められる人が会議に出ていないことがよくあります。
問題は、返ってくる日が決まらないことです。だから聞くのは1つだけ。「何日ごろに伺えますか」。内容は聞きません。
日付が出たら、その日をタスクとして置きます。過ぎたら聞きに行く理由ができます。日付がないと、催促は「まだですか」という督促になってしまいますが、日付があれば「先日いただいた◯日の件です」で済みます。
7. 帰る前に、明日いちばんに聞くことを1行書く
今日つかまらなかった人がいたら、名前と用件を1行だけ書いて帰ります。「山田さん/移行の停止時間、何時まで取れるか」。
これがないと、翌朝は「誰に何を聞くんだったか」を思い出すところから始まります。兼任で回している人ほど、この思い出す時間が積み上がります。
書く場所はどこでもかまいませんが、翌朝かならず開くところにしてください。手帳でも、タスクの一覧でも構いません。
全部やろうとしないでください
7つ並べておいてなんですが、いっぺんに始めるとまず失敗します。1つ選んで2週間続けて、意識しなくてもできるようになってから次を足すのが、いちばん確実です。
順番に迷うなら、3番(会議のおわりの30秒)から始めてください。効果がいちばん早く、いちばん目に見えます。
ABではこう見えます
AB Projectsを使っている場合、1番と6番と7番はそのまま画面の操作になります。期限切れの絞り込みが1つあれば朝の2分は終わりますし、「持ち帰り」の回答期日も、明日聞くことも、同じ場所に置けます。
3番の会議のおわりも、読み上げながらその場でタスクに落とせば、議事録を別に書く手間が消えます。決まったことが次に見る画面にそのまま残る——工夫が続くかどうかは、だいたいここで決まります。
このページで使った言葉
- 定例
- 決まった間隔で開く会議です。終わりの条件を先に言うだけで、長さが変わります。くわしく →
- 議事録
- 会議で決まったことと決まらなかったことの記録です。その場で読み上げれば、書く手間が半分になります。くわしく →
- 持ち帰り
- その場で決めず、社内に戻って検討することです。返ってくる日だけ決めれば、宙に浮きません。くわしく →
- 報連相
- 報告・連絡・相談のことです。ここで挙げた工夫は、相手の負担を下げて報連相を成立させるためのものです。くわしく →
- 課題
- すでに起きていて、対応しないと困ることです。朝の2分で見つけるのは、たいていこれの芽です。くわしく →
- 兼任
- 本業を持ったまま別の役割も担うことです。7つとも、兼任で回している人を前提に選んでいます。くわしく →