第10章 ← 目次にもどる
読み終えたあと、何をするか
ここまでで、プロジェクトの始め方から終わらせ方まで一周しました。ただ、読んだだけでは何も変わりません。変わるのは、次の案件で1つだけ違うことをしたときです。この章では、その1つの選び方を扱います。
この記事の要点
- この章は10.1 続けて伸ばす・10.2 資格・10.3 役割を広げるの3本です。
- 3つは順番ではありません。迷ったら10.1だけで十分に効きます。
- 資格は目的が決まってから考えるほうが、時間もお金も安く済みます。
- この教材で扱ったことは、突き詰めると3つの動作に収まります。
- 来週やることを1つ決めて、このページを閉じてください。
10章で言ってきたことは、3つに収まります
ここまで44ページ分ありましたが、実際に繰り返し出てきたのは次の3つだけです。
- 大きな塊を、担当と期日がつく大きさまで分ける。——3.0の計画も、6.1の進捗も、根はこれです。
- 悪い情報を、早く表に出す。——第8章の2つの事例が分かれた点は、これ1つでした。
- 権限のない相手を、代償を見せて動かす。——4.2も6.2も、やっていることはこれです。
用語や手法は、この3つをやりやすくするための道具にすぎません。WBSもガントチャートもカンバンも、覚えるべき知識というより、3つのどれかを支える形です。
読み終えた直後にやること
いま抱えている案件を1つ思い浮かべて、来週やることを1つだけ決めてください。2つ以上決めると、たいてい0になります。
選ぶのに迷ったら、この順で見てください。
- 会議のおわりに、決まったことと担当と期日を声に出す。(9.2)
- 作業を2〜3日の大きさに割り直す。(2.2)
- 赤にする基準を、日数の数字で決めておく。(8.2)
- いま気になっている「かもしれない」を、1つ書き出して誰かに言う。(3.4)
この教材が扱っていないこと
最後に、範囲の外にあることも書いておきます。ここまでの内容は、数人から十数人・半年から1年くらいの案件を前提にしています。数百人規模の基幹刷新や、法規制の絡む大型案件には、追加で必要になる仕組みがあります。
また、この教材は日本国内の職場の条件——兼任が普通であること、決裁の順番が決まっていること、商流が何段かあること——を前提に書いています。海外のチームと働く場合は、前提そのものが変わる部分があります。
それでも、上の3つの動作は変わりません。分けて、出して、通す。ここだけは、どこでも同じです。
ABではこう見えます
この教材の中で何度か触れてきたAB Projectsは、上の3つの動作をそのまま置ける場所として設計されています。分けたものはタスクとして、出したものは課題として、通した結果は決定として、同じ画面に残ります。
道具は3つの動作を代わりにやってはくれませんが、やり続けることを楽にはしてくれます。続かない工夫は、たいてい記憶に頼っているものです。
このページで使った言葉
- プロジェクト
- 終わりが決まっている、一度きりの仕事です。この教材はここから始まりました。くわしく →
- WBS
- やることを木の形に分けた一覧です。「分ける」という動作を紙に落とした形です。くわしく →
- 兼任
- 本業を持ったまま別の役割も担うことです。この教材全体の前提条件です。くわしく →
- 商流
- 発注元から実際に手を動かす会社までの取引の連なりです。段が増えるほど情報が薄くなります。くわしく →
- QCD
- 品質・費用・納期のことです。何かを足すときに、どれを削るかを見せるための枠組みです。くわしく →