10.2 プロジェクトマネージャ試験・PMP・P2Mの選び方

10.2 プロジェクトマネージャ試験・PMP・P2Mの選び方

第10章 10.2 ← 10.0 まとめと次の一歩

資格は、目的を決めてから選びます

プロジェクト管理の資格は、取れば仕事ができるようになるものではありません。すでにできることを、説明しなくても伝わる形にする道具です。だから、誰に何を伝えたいのかが決まっていないと、選びようがありません。

はじめてこのページに来た方へ このページは全10章のチュートリアルの10.2です。ここだけ読んでも意味が通るように書いています。数値はすべて出典と時点を明記しています。専門用語はページ下部で説明しています。

この記事の要点

  • 国内で実際に選択肢になるのは、IPA プロジェクトマネージャ試験・PMP・P2Mの3つです。
  • IPA試験は受験条件なし・受験手数料7,500円(税込)。直近の合格率は14.3%
  • IPA試験はいま制度が変わる途中です。2026年度でCBT化、2027年度から新制度へ。
  • PMPは実務経験3〜5年+35時間の研修が受験条件。国際的な通用性が利点です。
  • 資格より先に、10.1の回し方を始めるほうが、たいていの人には効きます。

先に決めること

「プロジェクト管理の資格、何を取ればいいですか」と聞かれたら、いつも逆に聞き返しています。誰に何を伝えたいですか、と。

  • いまの会社での評価や昇進に効かせたい → 社内の資格手当や昇格要件の一覧を先に見てください。国内の大手SIerや情報システム部門では、IPAの高度試験が要件に入っていることがよくあります。
  • 転職のときに書類で落とされたくない → 応募先が国内中心ならIPA、外資や海外案件が絡むならPMPが通りやすい傾向があります。
  • 体系的に学び直したい → 資格は手段としては高価です。10.1の回し方と本1冊のほうが安く済みます。

3つ目が本音なら、資格は後回しでかまいません。受験料そのものより、数百時間の勉強時間のほうが高くつきます。

3つを並べて比べる

IPAプロジェクトマネージャ試験・PMP・P2Mの比較とIPA試験の制度変更 IPAプロジェクトマネージャ試験は国家試験で受験条件なし、手数料7500円、直近合格率14.3パーセント、論述式があります。PMPは国際資格で学歴により3から5年の実務と35時間の研修が必要、合格率は非公表です。P2Mは日本発の体系で、PMSは条件なしのCBT、年3回実施です。IPA試験は2026年度にCBT化して区分名が科目A-1、A-2、B-1、B-2に変わり、PM試験は2027年の後期に実施され、2027年度からは新制度へ移行します。 比べる点 IPA プロジェクトマネージャ試験 PMP(PMI) P2M(PMAJ) どんな資格か 国家試験。国内の発注側・ SIerで最も通りがよい 国際資格。外資系や海外と 仕事をする場面で効く 日本発の体系。複数案件を 束ねる考え方が中心 受験の条件 なし。誰でも受けられる 受験手数料 7,500円(税込) 学歴により3〜5年の実務 +35時間の研修が必要 PMSは条件なし。上位の PMQ・PMRは審査あり むずかしさ 合格率 14.3% 令和7年度秋期・論述式あり 合格率は非公表 選択式・随時受験できる PMSはCBTで100問150分 年3回(6月・10月・2月) 向いている人 国内のSI・情シスで働く人。 社内評価に直結しやすい 外資・海外案件・転職時に 説明が要らないのが利点 複数案件を束ねる立場や、 PMOで働く人 IPA試験は、いま制度が変わる途中です 2026年度(令和8年度) CBT化。区分名が科目A-1/A-2/ B-1/B-2に変わります。 PM試験は後期・2027年 申込1/27〜2/27、科目A 2/20〜3/2、 科目B 3/16〜3/28。 2027年度から新制度へ 現行制度は2026年度で終了予定。 新試験の名称はまだ仮称です。 上の表は横に読みます。左の列が比べる点、右の3列が資格です。下の帯はIPA試験の制度変更で、 左から時間順です。数値はIPA・PMAJの公表資料(2026年7月時点)によります。PMPの受験料と 国内保有者数は一次資料で確認できなかったため、あえて載せていません。
上半分の表は横に読みます。左端の列が比べる観点で、右の3列がそれぞれの資格です。下半分の3枚は、IPA試験の制度変更を左から時間順に並べたもの。2026年度と2027年度で受け方が変わるので、受験を考えている方はここを先に確認してください。

IPA プロジェクトマネージャ試験

情報処理技術者試験の高度区分の1つで、経済産業省が定める国家試験です。国内、とくに発注側の情報システム部門や大手SIerでは、もっとも説明が要らない資格です。昇格要件や資格手当の対象に入っている会社も少なくありません。

受験に条件はなく、誰でも申し込めます。受験手数料は7,500円(消費税込)。直近の合格率は14.3%(令和7年度秋期、受験者8,511人・合格者1,219人。IPA、2025年12月25日発表)。

難所は論述式です。制限時間内に、自分が関わった案件について指定された観点で2,000字前後を手書きで書きます。知識よりも、自分の経験を型に当てて説明できるかが問われます。ここは10.1の書き残しがそのまま効いてきます。

受ける前に知っておくべき制度変更

この試験は、いま大きく変わっている途中です。2026年7月時点で公表されている範囲では、次のようになっています。

  • 2026年度(令和8年度)からCBT化。応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験が対象で、区分名が「午前I/午前II/午後I/午後II」から「科目A-1/A-2/B-1/B-2」に変わります。試験時間と出題範囲は変わりません。
  • PM試験は2026年度の後期。申込は2027年1月27日〜2月27日、科目Aが2027年2月20日〜3月2日、科目Bが3月16日〜3月28日の期間で実施されます。前期(2026年11月)にPM試験はありません。
  • 現行制度は2026年度の実施をもって終了予定。2027年度からは、応用情報と高度試験が「プロフェッショナルデジタルスキル試験」(仮称)に再編され、PMは「マネジメント」区分に入る見込みです。名称は2026年6月末時点でまだ仮称のままです。

つまり、いまの形で受けられるのは2027年3月が最後になる見込みです。取るつもりがあるなら、この回を狙うか、新制度の内容が固まるのを待つかの判断が要ります。(出典:IPA公表資料。2026年7月時点)

PMP(PMI)

米国のPMI(Project Management Institute)が認定する国際資格です。外資系企業や、海外拠点・海外ベンダーと組む案件では、説明しなくても通じるのが最大の利点です。

受験には条件があります。学歴に応じて3〜5年(36〜60か月)のプロジェクト指揮の実務経験と、35時間の研修が必要です。四年制大学卒であれば36か月、高卒相当では60か月というのが基本線です。CAPMを保有している場合は35時間の研修が免除されます。

合格率は公表されていません。試験は選択式で、通年いつでも受けられます。更新制で、3年ごとに一定量の継続教育(PDU)が必要になる点も、IPA試験との大きな違いです。

受験料と日本国内の保有者数については、PMIの一次資料で確認できる形の公表がなかったため、この記事では数字を載せていません。ネット上でよく見る金額や人数は、多くが研修会社の記載か、会員限定資料の孫引きです。受験を検討する際は、必ずPMIの公式ページで最新の金額を確認してください。

P2M(PMAJ)

日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が運営する、日本発の体系です。単一のプロジェクトだけでなく、複数の案件を束ねて事業目的につなげるという考え方(プログラムマネジメント)が中心にあります。

資格は段階制で、PMCe → PMC → PMS → PMQ → PMR → PMA という並びです(PMAは未実施)。入口として現実的なのはPMSで、受験条件はなく、CBTで100問150分。年3回(6月・10月・2月)実施されます。受験料は39,270円(税込)です。上位のPMQ(55,000円)、PMR(165,000円)は記述式と面接による審査が入ります。(出典:PMAJ公表資料。2026年7月時点)

知名度はIPAやPMPほどではありませんが、PMOで複数案件を見る立場や、事業側と近いところで働く人には、扱っている範囲が合っています。

正直に言うと

資格を持っていることと、案件を最後まで運べることは別の能力です。これは資格を軽んじているのではなく、試験で測れる範囲がそもそも違うという意味です。

論述式のIPA試験は、経験を型に当てて説明する力を測ります。これは実務でも効きます。一方で、8.2で見た「言いにくいことを言う」場面のふるまいは、どの試験でも測れません。

だから順番としては、10.1の回し方を始めてから、必要になったときに資格を取るのが無駄がありません。逆順にすると、勉強はしたのに現場で使えない、という一番もったいない形になります。

ABではこう見えます

IPA試験の論述式では、自分が関わった案件の背景・課題・とった対策・結果を、制限時間内に組み立てて書きます。ここでいちばん困るのが、数年前の案件の詳細を思い出せないことです。

AB Projectsのように案件の記録が残る場所があれば、当時の課題と対応がそのまま材料になります。10.1で書いた4行の記録は、実は論述対策としてもよくできています。

このページで使った言葉

PMO
複数のプロジェクトを横から支える組織や役割です。P2Mが扱う範囲と重なります。くわしく →
商流
発注元から実際に手を動かす会社までの取引の連なりです。どの位置にいるかで、効く資格が変わります。くわしく →
体制
誰がどの役割を持つかの並びです。論述式では、まずこれを説明できることが前提になります。くわしく →
ふりかえり
進め方そのものを見直す場です。ここで書いた記録が、論述式の材料になります。くわしく →

10.1 続けて伸ばす

資格より先に始めたほうがいい、4行の記録。

10.3 役割を広げる

資格が効く場面と、効かない場面。

5.4 アジャイルとウォーターフォール

試験でも実務でも問われる、進め方の選び分け。


公開日: 2025-01-22 最終更新日: 2026-07-28

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