3.0 プロジェクト計画の立て方|決めるのは4つだけ

3.0 プロジェクト計画の立て方|決めるのは4つだけ

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計画で決めるのは、4つだけです

計画づくりというと、分厚い計画書や細かいガントチャートを思い浮かべる方が多いと思います。実際に決めなければならないことは、もっと少なく、そして互いに絡み合っています。範囲・日程・体制・リスク。この4つを順に一周すると、たいてい最初の答えが変わります。

はじめてこのページに来た方へ このページは全10章のチュートリアルの第3章です。プロジェクトの区間全体は第2章、そもそもの定義は第1章で扱っています。専門用語はすべてページ下部で説明しています。

この記事の要点

  • 計画で決めるのは、範囲(3.1)・日程(3.2)・体制(3.3)・リスク(3.4)の4つです。
  • この4つは独立していません。ひとつ決めると、ほかの3つが動きます。
  • だから一度で決まりません。ざっと一周してから、もう一周するのが正しい進め方です。
  • 計画の目的は当てることではなく、ずれたときに気づける形にしておくことです。
  • 遠い先まで細かく書いた計画は、精度が高いのではなく、更新されなくなるだけです。

4つと、それぞれが薄いときに起きること

計画で決める4つのことと、それぞれが薄いときに起きること 3.1スコープが薄いと、要望が少しずつ増え、増えた自覚がないまま工数だけが1.5倍になります。3.2スケジュールが薄いと、全員が100%この案件にいる前提の日程になり、初日から破綻します。3.3体制と要員が薄いと、その人が休んだ日にすべてが止まり、止まるまで誰も気づいていません。3.4リスクが薄いと、全部が起きてから考えることになり、起きたときには打てる手がほとんど残っていません。 3.1 スコープ 今回やること、そして今回はやらないことを 先に書いておく ここが薄いと 要望が少しずつ増え、増えた自覚がないまま 工数だけが1.5倍になっています。 3.2 スケジュール 工数を、その人が実際に使える時間で 日程に変換する ここが薄いと 全員が100%この案件にいる前提の日程になり、 初日から破綻しています。 3.3 体制と要員 誰が何をできるのかを、名前ではなく できることで把握する ここが薄いと その人が休んだ日にすべてが止まり、しかも 止まるまで誰も気づいていません。 3.4 リスク まだ起きていないことのうち、どれに 先に手を打つかを決める ここが薄いと 全部が「起きてから考える」になり、起きたときには 打てる手がほとんど残っていません。 この4つは独立していません。スコープが決まらなければ日程は引けず、日程が決まらなければ要員は 押さえられず、要員が薄ければそれ自体がいちばん大きなリスクになります。順に一周してください。
各カードの上半分がその節で決めること、下半分が薄かったときの結果です。4つのカードは左上から時計回りに読んでください。ひとつ決めるたびに前のカードに戻る必要が出てきますが、それが正常です。

一度では決まりません

この4つを順番に片づけようとすると、必ず途中で止まります。範囲を決めて日程を引いたら、その日程には必要な要員が確保できないと分かる。要員を減らして計算し直すと、日程が納期を超える。納期を動かせないなら、範囲を減らすしかない——という具合に、必ず一周目に戻ります。

これは計画が下手だからではなく、4つが同じひとつの問題の別の面だからです。範囲・日程・体制は、どれかを固定するとほかが決まります。3つとも自由に決められるプロジェクトは存在しません。

だから進め方は、ざっと一周してから精度を上げる、が正解です。一周目は粗くていい。「だいたいこの範囲で、だいたい3か月、だいたい2人」。ここで矛盾が見つかれば、それがいちばん安い時点で見つかったということです。

日本の現場では、QCDで話すのが早い

関係者と話すときは、1.0でも触れたQCD——品質・コスト・納期——の言い方が通じます。「範囲を増やすなら、納期かコストのどちらかを動かしてください」という言い方は、製造業出身の方にも、営業の方にも、そのまま伝わります。

これは交渉のためのレトリックではなく、事実です。3つとも動かさずに範囲だけ増やす方法は存在しません。存在しないので、「頑張ります」で受けると、品質が静かに落ちるか、誰かの残業になるか、納期が後から動くかのどれかになります。どれも、あとで説明がつかない形で表に出ます。

計画の目的は、当てることではありません

「どうせ計画どおりにいかないのに、なぜ計画を立てるのか」という問いは、もっともです。答えは、ずれたときに気づけるようにするためです。

計画がなければ、遅れているかどうかも分かりません。3週間かかった作業が、遅いのか妥当なのか判断できない。計画があれば、「2週間の想定が3週間かかった」と言えます。この差が情報です。そしてこの情報は、次の見積りを直すために使えます。

だから計画は、当たるかどうかより比較できる形になっているかのほうが大事です。「3月末までに完了」だけでは比較できません。「2月末までに要件を確定、3月10日までに移行テスト」まで書いてあれば、2月末の時点で分かります。

遠い先は、粗いままにしておく

計画を細かくすればするほど精度が上がる、というのは直感に反して間違いです。半年先の作業を1人日単位まで割っても、その数字に根拠はありません。根拠のない細かさは、精度ではなく更新コストを増やします。

そして更新されなくなった計画は、更新されないまま参照されます。実態と合っていない資料を全員が見ている状態が、いちばん危険です。

実務的な折り合いは単純です。近い2〜3か月は細かく、その先は節目だけ。進むにつれて、近づいてきた部分を細かくしていきます。これは手抜きではなく、分かっていないことを分かっているふりをしない、という態度です。

ABではこう見えます

AB Projectsでは、計画をタスクとして持ち、進みながら細かくしていく形が自然に取れます。遠い先は大きなタスク1つのまま置いておき、近づいたら分割する。最初から全部を細かく登録する必要はありません。

4つの要素のうち、範囲とリスクはWikiに、日程と体制はタスクとメンバーに現れます。どこに何があるかが決まっていると、「あの話はどこで決めたか」を探す時間がなくなります。

このページで使った言葉

スコープ
今回やること・やらないことの範囲です。書かれていない範囲は、相手の頭の中では「やること」に入っています。くわしく →
QCD
品質・コスト・納期の頭文字です。3つは独立しておらず、どれかを動かせば必ず他が動きます。くわしく →
工数
作業に必要な人の手間を人日・人月で表したものです。期間とは別物です。くわしく →
要員
プロジェクトに参加している人のことです。誰がいるかではなく、誰が何をできるかで把握します。くわしく →
リスク
まだ起きていないが、起きると困ることです。すでに起きている「課題」とは分けて扱います。くわしく →
マイルストーン
計画上の重要な節目です。他人が達成を判定できる形で書けていなければ、ただの日付です。くわしく →

3.1 スコープの決め方

出てきた要望を、4つの箱に振り分ける方法。

2.2 WBSの作り方

計画の中身を、判定できる単位に割る方法。

5.0 道具の選び方

計画を、どの道具で持つかの判断。


公開日: 2024-12-13 最終更新日: 2026-07-28

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