6.2 問題解決と変更管理とは?|トラブルと変化に強いプロジェクト運営の原則

6.2 問題解決と変更管理
どれほど綿密に計画を立てても、プロジェクトにトラブルや変更はつきものです。
むしろ、問題や仕様変更が「起きる前提」で動けるチームこそが、プロジェクトを成功に導くことができます。
このセクションでは、進行中の課題(イシュー)や変更要求に対し、どのような視点と手順で対応すべきか、実践的なフレームワークで解説します。
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よくあるプロジェクトの問題例
- 重要なタスクの遅延
- 成果物の品質不備や仕様漏れ
- ステークホルダーからの急な要求変更
- メンバーの離脱や稼働率の急低下
- 外部パートナーの納期ずれや依存の遅延
こうした問題を「誰が」「どう判断し」「どう共有するか」が明確になっていない場合、対応が遅れ、信頼の低下や損失に直結します。
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問題解決の基本ステップ
- 早期発見: メンバーの声、ツールのアラート、定例の進捗確認などを通じて兆候に気づく
- 影響評価: スケジュール、品質、チーム体制など、どこにどれほど影響があるかを分析
- 対応方針の決定: 回避、修正、代替案、延期、中止などから最適な方針を検討
- 合意形成と共有: ステークホルダーや関係者に説明し、納得と協力を得る
- 対応の実行と記録: 必要なタスク・再計画を作成し、対応結果を追跡・共有
この一連の対応サイクルが確立していることが、成熟したチームとそうでないチームの大きな違いです。
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変更要求にどう対応するか(変更管理)
変更要求が発生した場合、次の3つの視点で判断します:
- 目的との整合性: この変更はプロジェクトの目的達成に資するか?
- 影響範囲: スケジュール・コスト・体制への影響は許容範囲か?
- 合意者: 誰の承認・調整が必要か?
軽微な変更であれば現場判断で柔軟に、重大な変更であればレビューと合意を経て処理するように、分類ルールを設けておくと判断がスムーズです。
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アクションブリッジでの実践例
アクションブリッジでは、次のような変更・問題対応が日常的に行われています:
- タスクの変更履歴を自動で記録し、誰がいつ何を変えたかが明確になる
- 「緊急」「遅延要因」「依存中」などのタグで問題タスクを分類・視覚化
- コメント欄で議論の経緯を蓄積し、関係者間の共有と透明性を担保
- 変更要求は新たなタスクやサブタスクとして登録し、承認ステップを設ける運用も可能
これにより、問題対応も属人化せず、「見える・残る・検証できる」状態で管理され、後の振り返りにも活用できます。
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まとめ:変化に強いチームがプロジェクトを動かす
問題や変更は失敗の兆候ではなく、適応力を試される機会です。
それらに冷静に向き合い、影響を分析し、関係者と合意しながら進める能力こそが、プロジェクトマネージャーの真価であり、チームの力の証です。
→ 次は「6.3 プロジェクトの報告方法」へ進みましょう。

下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。カテゴリー
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下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。