1.2 プロジェクトマネージメントの重要性とは?|成功と失敗を分けるカギ

1.2 プロジェクトマネージメントの重要性
なぜ「プロジェクトマネージメント」がそれほど重要視されるのでしょうか?
それは、プロジェクトというものが本質的に「リスクが高く」「不確実性を多く含む」活動であるためです。明確なゴールがあり、期限も決まっている中で、さまざまな関係者と連携しながら計画通りにものごとを進めていくのは簡単なことではありません。
しかも現代のビジネス環境は変化が激しく、状況は常に流動的です。要件が変わる、スケジュールが遅れる、予算が足りなくなる、メンバーが抜ける…そういった事態が現場では日常的に起こります。
このような混乱の中でも、成果を出すために必要なのが「プロジェクトマネージメントの力」なのです。
プロジェクトが失敗する典型例
以下は、プロジェクトがうまくいかない典型的な理由の一部です:
- 目的やスコープがあいまいなまま進行し、後で認識のズレが露呈した
- スケジュールに余裕がなく、納期に間に合わなかった
- メンバー間の連携が悪く、情報共有が不十分だった
- リスクを予測しておらず、トラブル発生時に対応が遅れた
- 進捗や成果を測る基準がなく、成功・失敗の判断ができなかった
このような問題の多くは、「プロジェクトマネージメントの仕組みがなかった」「機能していなかった」ことに起因します。逆に言えば、しっかりとしたマネージメント体制を整えることで、これらのトラブルを事前に予防し、あるいは迅速に対応することが可能になります。
プロジェクトマネージメントがもたらす効果
プロジェクトマネージメントを適切に行うことで、以下のような成果が期待できます:
- 目的とゴールの明確化: プロジェクトの「なぜやるのか」「何を達成すべきか」が共有され、無駄な作業が減ります。
- 計画と実行の見える化: スケジュール、タスク、リソースなどが可視化され、進捗状況を誰でも把握できます。
- チーム間の連携強化: 情報の流れを整理し、意思疎通の齟齬を防ぎます。
- リスクの予測と対策: 起こりうる問題を事前に洗い出し、備えることでダメージを最小限に抑えられます。
- 品質・コスト・納期のバランス維持: 「QCD(Quality・Cost・Delivery)」の観点から、現実的かつ最適な落としどころを見つけられます。
企業における競争力にも直結
特に、複数のプロジェクトを同時並行で進めている企業にとって、プロジェクトマネージメント力は「企業の生産性そのもの」と言っても過言ではありません。
納期を守り、品質を担保し、コストを抑えながらプロジェクトを成功させる力は、取引先や顧客からの信頼を高め、組織全体の競争力を向上させます。
一方で、プロジェクトの失敗は大きな損失につながります。納期遅延による信頼の低下、追加コストの発生、担当者のモチベーション低下など、組織全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ:マネジメントは「技術」である
「マネージャーの経験やセンスに依存するのでは?」と思われることもありますが、プロジェクトマネージメントは体系立てて学び、誰でも習得できる“技術”です。
計画、進捗管理、リスク対応、報告・評価といった要素は、それぞれに具体的なフレームワークと手法が存在します。
このシリーズでは、それらをひとつひとつ丁寧に紐解きながら、実務に活かせるスキルとして身につけていくことを目指します。
→ 次は「1.3 プロジェクトと日常業務の違い」について解説します。

下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。カテゴリー
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下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。