5.1 ガントチャートの活用とは?|進捗とチームの動きを見える化する管理術

5.1 ガントチャートの活用

プロジェクトを「見える形」にする最も基本的で有効な方法の一つが、ガントチャートです。
タスクを時系列で視覚化し、計画と実行のズレを把握しやすくするこのツールは、今なお多くの現場で活用されています。

単に線を引くだけの図表ではありません。ガントチャートはチーム全体の共通認識をつくり、進捗をコントロールするための中核的なツールです。

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ガントチャートとは?

ガントチャートは、タスク(作業項目)を縦軸に、期間(日付や週など)を横軸にとって表現した棒グラフ形式のスケジュール管理図です。
各タスクの開始日・終了日・進捗率・依存関係などを一目で確認でき、誰が・いつ・何をやるかが可視化されます。

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ガントチャートを使う3つの目的

1. プロジェクト全体像の「視覚化」

テキストのスケジュール表では見落としやすい、タスクの並行関係や順序が一目で把握できます。
これは、現場メンバーにとっても経営層にとっても、極めて大きなメリットです。

2. 遅延の「早期発見」と対応

計画と実績を重ねて表示することで、遅れのある作業や影響範囲がすぐに明確になります。
リカバリ策を早く打てる点は、ガントチャートならではの利点です。

3. チームの「共通理解」と調整の基盤に

「自分の仕事が他の誰の作業とつながっているのか」
「このタスクが遅れると誰に迷惑がかかるのか」
こうした全体感と責任意識を育むのにもガントチャートは有効です。

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アクションブリッジでも利用可能な機能

著者が開発したプロジェクト管理ツールアクションブリッジでは、ガントチャート形式でのタスク管理も可能です。

  • タスクのステータス(未着手・進行中・完了)をドラッグで更新
  • 開始日・期限・依存関係をカレンダー形式で編集
  • メンバーごとの担当割り当て・進捗率の可視化
  • TeamsやSlackなどと連携した通知機能

特にチーム横断のプロジェクトや、カスタマーサポート起点でのタスク運用において、アクションブリッジは現場起点のプロジェクト管理を実現するツールとして機能します。

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作成のステップ

  1. WBS(作業分解)をもとにタスクを洗い出す
  2. タスクごとに開始日・終了日・担当者を設定
  3. タスク間の依存関係(前後関係)を可視化
  4. 進捗率を定期的に更新し、週次などで共有

これを継続的に行うことで、プロジェクトの見通しは格段に良くなります。

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他の代表的ツール例

  • Backlog: 日本企業に強く、チケット連携も柔軟
  • Wrike: ガント+カンバンの切り替えが可能
  • Asana / ClickUp: グローバルでの柔軟な表示切替
  • Microsoft Project: 大規模案件向けの本格ツール

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注意点と補完策

ガントチャートは全体像の把握に優れますが、以下のような点には注意が必要です:

  • 変化への柔軟性が低く、頻繁な更新が必要
  • 細かくしすぎると運用が重くなる
  • 「完了=進捗」ではない(品質や成果は別の評価軸)

状況によっては、カンバン方式(ボードビュー)や、アジャイル手法との併用が効果的です。

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まとめ:ガントチャートはプロジェクトの“見える地図”

ガントチャートは、プロジェクトの方向性と進行状況をチーム全体で共有するための「視覚的なマネジメント基盤」です。
適切な設計と継続的な運用により、プロジェクトの「迷い」を減らし、「動きを揃える」ことが可能になります。

次は、プロジェクトの特性に応じた「進め方」そのものの選択――「アジャイル」と「ウォーターフォール」について詳しく学んでいきましょう。

公開日: 2025-01-04

下田 昌平

株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。

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下田 昌平

株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。