5.2 アジャイルとウォーターフォール手法とは?|プロジェクト特性に応じた進め方の選び方

5.2 アジャイルとウォーターフォール手法
プロジェクトをどのように「進めていくか」は、内容の成否を大きく左右します。
その進め方の代表的なモデルが、ウォーターフォール(Waterfall)とアジャイル(Agile)です。
どちらが優れているというものではなく、プロジェクトの性質や規模、求められる柔軟性によって適切な選択が必要です。
本節では、それぞれの特徴・使いどころ・併用のポイントについて詳しく解説します。
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ウォーターフォールモデルとは?
ウォーターフォールは、要件定義・設計・開発・テスト・リリースといった工程を上から下へ、一方向に流れるように進める手法です。
工程ごとに完了・承認が行われ、次のステップに進む構造です。
主な特徴
- プロセスが明確で、管理しやすい
- 前工程が終わるまで次に進まない
- 全体設計に強く、スコープが固定しやすい
適しているケース
- 要件が明確で、変更が少ないプロジェクト(例:社内インフラ整備)
- 法令遵守やレビューが厳格な業務(例:金融・医療)
- 複数ベンダーで役割が明確に分かれているプロジェクト
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アジャイル手法とは?
アジャイルは、全体を小さな単位(イテレーション)に分割し、「作っては試す」を短いサイクルで繰り返す開発手法です。
代表的なフレームワークに Scrum(スクラム)や Kanban(カンバン)があります。
主な特徴
- 変化に柔軟に対応できる
- 実物を早く出し、フィードバックを活かす
- 開発チームと顧客が近い距離でやり取りする
適しているケース
- 要件が流動的なプロジェクト(例:新サービスの開発)
- ユーザーからのフィードバックを迅速に取り込みたい場合
- 社内外のステークホルダーと定期的に方向修正する必要がある場合
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ウォーターフォール vs アジャイル:比較表
観点 | ウォーターフォール | アジャイル |
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進め方 | 工程を順番に進める | 短い単位で繰り返す |
要求の扱い | 初期に固めて変更しにくい | 進行中も柔軟に変更可能 |
成果物の提供タイミング | 最後に一括で納品 | 部分的に早期リリース可能 |
コミュニケーション | 文書ベース、レビュー中心 | 日次ミーティングや対話重視 |
スケジュール管理 | 計画重視、予実管理に強い | 柔軟性重視、スプリント単位 |
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ハイブリッド型の活用:計画はウォーターフォール、実行はアジャイル
近年では、「どちらかを選ぶ」のではなく、場面によって使い分けるハイブリッド型も増えています。
たとえば:
- 全体のマイルストーンやフェーズ設計はウォーターフォール
- 各フェーズ内の開発や検証はアジャイル
- ドキュメント管理はウォーターフォール、ユーザーテストはアジャイル
この柔軟な発想は、特に大規模プロジェクトや複数チームが並走する環境において有効です。
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アクションブリッジにおけるアプローチの選択
アクションブリッジ では、ウォーターフォール的なタスク階層と、アジャイル的なボードビュー・ステータス遷移の両方を柔軟に組み合わせて使うことができます。
- 工程別にWBS形式でタスク設計(計画志向)
- 実行時は担当者ごとにステータス移動(進行型ボード)
- ガントチャートで全体の流れを確認しつつ、柔軟にイテレーション設計
このように、チームの成熟度やプロジェクトの特性に応じて、進め方そのものを“設計できる”のが、現代のプロジェクトマネジメントの醍醐味でもあります。
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まとめ:最適な手法は、プロジェクトが決める
アジャイルとウォーターフォールは対立する概念ではなく、それぞれの強みを理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。
重要なのは、「どちらを使うか」ではなく、「このプロジェクトにはどのアプローチが合っているか?」を問い続ける姿勢。
それこそが、プロジェクトマネージャーの“戦略眼”であり、組織としての柔軟性の源でもあるのです。
→ 次は「5.3 タスク管理ツールの紹介」へ進み、具体的に現場で活用できる実用ツールを見ていきましょう。

下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。カテゴリー
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下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。