7.1 成果物の引き渡しとは?|納品を成功させる説明・承認・信頼構築の手順

7.1 成果物の引き渡し
プロジェクトの終了フェーズにおける最も重要なアクションのひとつが、成果物の正式な引き渡しです。
これは単なる「納品」ではなく、成果の証明と信頼の確認でもあります。
この工程を丁寧に設計・実行することで、顧客・クライアント・社内ステークホルダーとの関係は良好に終結し、次のプロジェクトや継続的な協業への道が開かれます。
成果物の「完成」と「引き渡し」は違う
多くのプロジェクトにおいて、「成果物が完成した」=「仕事が終わった」と見なされがちです。
しかし、実際には以下のようなフローを経てはじめて、「引き渡し完了」となります:
- 成果物の完成(作成者視点)
- 成果物の検証・レビュー(内部品質チェック)
- 関係者への提出・説明(文書+対話)
- 承認と受領(相手からの明示的なOK)
この4段階を意識することで、「納品したのに見てもらえていない」「品質を問われてトラブルになる」といったリスクを大きく減らせます。
引き渡しに含めるべき情報
成果物の内容そのものに加え、以下のような情報も一緒に提供すると、受け手は安心して使い始めることができます:
- 目的・背景: なぜこの成果物が作られたのか
- 構成内容の概要: ファイル・画面・章構成などのナビゲーション
- 想定される使い方: 初回操作・導入手順・利用場面
- 注意点・制約事項: 仕様上の前提、未対応範囲、今後の改善余地
- 連絡先・問い合わせ先: 運用・保守に関わる窓口
とくにITや業務設計においては、ドキュメント類(マニュアル、移管書、QA一覧など)を一式揃えて渡すことで、プロジェクトとしての「完結度」が高まります。
アクションブリッジでの引き渡し支援
アクションブリッジでは、以下のような形で成果物の引き渡し準備をサポートできます:
- 成果物タスクに「移管済」「受領確認中」などのステータスを設定
- 受け渡し文書(PDF, Excel, スクリーンショット等)をタスクに添付・保管
- 顧客・外部関係者への限定共有リンクを発行し、アクセス状況を確認
- コメントスレッドで補足説明や質疑応答を記録
これにより、ただ「送った」で終わるのではなく、「受け手が理解・納得・活用できる」状態で引き渡すことが実現できます。
承認・受領の明文化
プロジェクトの評価・支払い・契約終了などに関わるため、成果物の受領は口頭確認ではなく、必ず文書で明文化しましょう。
代表的な手段として:
- 受領書・検収書(紙またはPDF)へのサイン・押印
- メールやSlackなどでの明示的な「確認済」「問題ありません」などの返信
- チェックリスト方式で、機能や内容の確認項目を1つずつ承認
これにより、後からの誤解や紛争を防ぎ、次フェーズ(運用・保守など)へ安心して移行できます。
まとめ:引き渡しは「仕事の完了」ではなく「信頼の始まり」
成果物の引き渡しは、プロジェクトのゴールであると同時に、関係性の次のフェーズのスタートでもあります。
形式的に済ませず、丁寧に説明し、相手の立場や不安に寄り添った引き渡しを行うことで、「また一緒に仕事をしたい」と思われる信頼が生まれます。
→ 次は「7.2 振り返りと評価」に進み、プロジェクト全体の出来事から学びと改善点を引き出していきましょう。

下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。カテゴリー
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下田 昌平
株式会社レシートローラーのCEO兼CTOとして、現在電子レシートサービスの開発や、会話を自動で仕分けてアクションタスクを生成するシステム「ACTIONBRIDGE」の開発を手掛けています。幼少期からプログラミングに親しみ、96年には測定器向けのプログラム開発にも携わるなど、技術に対する深い探究心を持ち続けています。 前職では、コールセンター業界最大手の企業の子会社である研究開発会社のCEO/CTOを務め、数多くの技術開発プロジェクトをリードしました。現在もなお、プログラミングの最前線でコードを書き続けています。