2.0 LLMの基本的な仕組み | トランスフォーマーと注意機構の解説

2.0 LLMの基本的な仕組み
LLM(大規模言語モデル)は、その卓越した言語理解と生成能力を支える高度な仕組みによって構築されています。特に、トランスフォーマーアーキテクチャと呼ばれるモデル構造が、LLMの性能を大きく向上させました。第2章では、LLMの根幹をなす技術的要素について説明します。
前のセクション「LLMと機械学習の違い」では、従来の機械学習とLLMの違いについて解説しました。ここでは、LLMの基本的な仕組みとなるトランスフォーマーモデルと注意機構について掘り下げていきます。
2.1 トランスフォーマーモデルの説明
トランスフォーマーモデルは、LLMの中核を成すアーキテクチャです。それまでの従来型のニューラルネットワーク(例えば、RNNやLSTM)がシーケンスデータの処理に限界を持っていたのに対し、トランスフォーマーは並列処理が可能であり、長い文脈の依存関係も効率的に処理できるのが特徴です。この仕組みにより、LLMは大規模なテキストデータを高速かつ正確に扱うことができます。
2.2 注意機構 (Attention Mechanism)
トランスフォーマーモデルの最大の特徴は、注意機構(Attention Mechanism)です。この機構は、文脈内の単語同士の依存関係を明示的にモデル化することで、単語間の関連性をより深く理解します。特に、自己注意機構(Self-Attention Mechanism)は、文中のすべての単語が他の単語にどの程度注意を払うべきかを計算し、それによって全体の文脈を把握することができます。この仕組みが、LLMが非常に自然なテキストを生成する要因の一つです。
2.3 BERT, GPT, T5などの代表的なモデル
LLMにはいくつかの代表的なモデルがあり、それぞれ異なるアプローチで自然言語処理の問題に取り組んでいます。例えば、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は双方向の文脈を理解するため、文章の前後関係を同時に把握することが得意です。GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、主にテキスト生成に特化したモデルで、ユーザーが与えた一部の文章から続きを生成する能力に優れています。T5(Text-to-Text Transfer Transformer)は、すべての自然言語処理タスクをテキスト変換問題として捉え、柔軟性の高いモデルとして知られています。
これらのモデルは、特定のタスクに対して最適化されたファインチューニングが行われることで、機械翻訳、質問応答、要約など、多岐にわたるNLPタスクに適用されています。エンジニアにとって、これらのモデルの選定は、実際のプロジェクトにおいて非常に重要なステップとなります。
次のセクション「トランスフォーマーモデルの説明」では、LLMの中核をなすトランスフォーマーの仕組みをさらに詳しく解説し、自己注意機構がどのようにして高性能な文脈理解を実現しているかを説明します。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。検索履歴
チーム

任 弘毅
株式会社レシートローラーにて開発とサポートを担当。POSレジやShopifyアプリ開発の経験を活かし、業務のデジタル化を促進。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。