RAG構築に使える主要ツールとサービスの選び方|LLM入門 第5章

第5章 主要ツール・サービスの選び方
ここまでの章では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という構造を構成するために必要な技術的な要素──埋め込みモデル、ベクトル検索エンジン、コンテキスト整形、セマンティック検索──を段階的に学んできました。
この第5章では、それらを実際に構築・運用するためのツールやサービスに焦点を当てていきます。
RAGは、特定の製品名に依存しない「構造上の発想」である一方で、構築・運用の現場では、何らかのツールやクラウドサービスを用いて具体化していく必要があります。とりわけ現在のRAGシステムは、オープンソースとクラウドSaaSの選択肢が非常に多様で、設計の自由度が高い反面、「どれを選ぶべきか」という判断が難しくなっています。
本章では、代表的な構成例を4つの観点から取り上げ、それぞれの役割とメリット・注意点を解説します。
5.1 OpenAI EmbeddingsとVector Store連携
RAGで広く採用されている「OpenAIの埋め込みモデル(text-embedding-ada-002など)」と、それをどのようにベクトル検索エンジンと連携させるかを具体的に見ていきます。FAISSやPineconeとの組み合わせパターンを中心に解説します。
5.2 LangChainによるパイプライン構築
RAGのワークフロー全体(文書の分割、検索、統合、生成)を一貫して構築するためのライブラリ「LangChain」。モジュール構成やテンプレート、実運用での評価の観点から、LangChainの強みと限界を解説します。
5.3 LlamaIndexの特徴と差別化ポイント
LangChainと並ぶもう一つの主要なRAGフレームワーク「LlamaIndex(旧GPT Index)」の特徴を紹介しつつ、特に「ドキュメント指向」の設計思想やインデックス管理の柔軟性がどのような用途に向いているかを説明します。
5.4 Azure Cognitive SearchやElasticなど代替案
オープンソースやSaaS以外にも、既存のエンタープライズインフラに組み込むRAG構成も可能です。Microsoft AzureやElasticSearchといった既存の検索基盤を活かすアプローチを紹介し、選択の幅を広げます。
ツール選定は、技術的な相性だけでなく、業務の規模、データの性質、チームの運用能力、予算といった多面的な要因に依存します。本章を通して、「何を使うか」だけでなく、「なぜそれを選ぶのか」が明確になる視点を提供します。
次のセクション「5.1 OpenAI EmbeddingsとVector Store連携」では、最も基本的な組み合わせのひとつである OpenAI EmbeddingsとVector Store連携の具体的な活用方法から見ていきましょう。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。カテゴリー
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任 弘毅
株式会社レシートローラーにて開発とサポートを担当。POSレジやShopifyアプリ開発の経験を活かし、業務のデジタル化を促進。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。