1.1 LLMとは何か: 定義と概要 | 大規模言語モデルの基本をエンジニア向けに解説

1.1 定義と概要
LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)は、テキストデータを大量に使ってトレーニングされたニューラルネットワークベースのモデルです。 ニューラルネットワークとは、人間の脳の構造を模倣したアルゴリズムであり、多層的な計算ノードを用いてデータを処理・学習する技術です。 特にLLMは、自然言語処理に特化し、大量のテキストデータを活用して人間のように言語を理解・生成する能力を持ちます。 その特徴は、数億から数千億単位のパラメータを持ち、膨大なデータセットを基に学習することで、文脈を理解し、自然な言語生成を可能にする点です。
パラメータとは何か
パラメータとは、ニューラルネットワークが学習中に最適化される変数のことです。これらは、入力データから出力結果を生成するための計算に使用されます。 LLMは、従来のモデルに比べてはるかに多くのパラメータを持ち、その規模が大きいほど複雑なパターンを捉えることが可能です。 例えば、GPT-3は1750億のパラメータを持ち、BERTのようなモデルも数億規模のパラメータを持っています。 このパラメータが、テキストの生成や理解において重要な役割を果たし、より文脈に即した正確な結果を提供することを可能にしています。
事前学習とファインチューニング
LLMはまず「事前学習(Pre-training)」によって、大量のテキストデータから基本的な言語の知識を学習します。 [この段階では、テキスト全体の構造やパターン、語彙の意味、一般的な文法ルールがモデルに吸収されます。] この事前学習によって、文法、語彙、文脈理解などがモデルにインプットされます。 その後、特定のタスクに応じて「ファインチューニング(Fine-tuning)」を行い、より高い精度を求めることができます。 これにより、LLMは多様なタスクに適応しやすい汎用モデルとなり、例えばカスタマーサポート、医療分野での診断支援、学術論文の自動要約などに応用されます。
自己教師あり学習の重要性
LLMのトレーニングには自己教師あり学習(Self-supervised Learning)が重要な役割を果たします。 この手法では、膨大なテキストデータの一部を隠し、その隠された部分を予測するようにモデルを訓練します。 [例えば、ある文の中の単語をランダムにマスクして、その単語をモデルが推測することで文脈理解を深めます。] これにより、ラベル付けされたデータが必要なく、モデルが効率的に言語を学習することが可能です。 自己教師あり学習は、データの用意が難しい場合でも効果的に活用できるアプローチであり、LLMのスケーラブルな開発を支える基盤となっています。
スケーラビリティとモデルの進化
LLMは、モデルのパラメータが増えるほど性能が向上するというスケーラビリティを持っています。 Googleが提案したBERTやOpenAIのGPTシリーズは、その典型的な例です。 [BERTは、主に文脈理解を目的とした双方向的なトランスフォーマーモデルであり、検索エンジンや質問応答システムに多く採用されています。 一方、GPTシリーズは、生成タスクに特化し、非常に自然な文章生成を可能にします。] これらのモデルは、パラメータ数の増加に伴い、タスクの精度も大幅に向上しました。 特に、GPT-3のような大規模モデルは、文章の生成だけでなく、翻訳や質問応答、クリエイティブな文章作成など、多岐にわたるタスクに対応可能です。
次のセクション「 自然言語処理におけるLLMの役割」では、LLMがどのようにして自然言語処理の分野で応用されているかについて詳しく説明します。 具体的なタスクとその応用事例を取り上げ、LLMがもたらす可能性について深掘りしていきます。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。検索履歴
チーム

任 弘毅
株式会社レシートローラーにて開発とサポートを担当。POSレジやShopifyアプリ開発の経験を活かし、業務のデジタル化を促進。

下田 昌平
開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。