RAGを構築するための技術要素とは?Embeddingから検索・統合まで解説|LLM入門 第4章

第4章 RAGに必要な技術コンポーネント

前章までで、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の構造やユースケース、導入の進め方について、概念と実践の両面から理解を深めてきました。
この第4章では、RAGを実際に構築するために必要な技術的要素に焦点を当てていきます。

RAGは「検索」と「生成」の融合というシンプルな枠組みのように見えますが、実際の実装では複数の技術的コンポーネントを連携させる必要があります。これらはそれぞれ独立した設計・チューニング対象であり、構築するシステムの規模や目的によって選択肢も異なります。

この章では、RAGを構成する中核的な4つの技術について、構造・役割・選定ポイント・注意点を明確にし、システム設計に役立つ理解を提供します。

 

4.1 埋め込みモデル(Embedding Model)

文書や質問を意味ベースで検索するために、まず必要になるのが「埋め込み(ベクトル化)」です。このセクションでは、埋め込みモデルの役割、OpenAIやSBERTなどの代表的モデルの違い、業務への適用方法などを解説します。

 

4.2 ベクトル検索エンジン(FAISS / Weaviate / Pinecone)

埋め込まれたベクトル同士を高速かつ高精度に検索するには、専用の検索エンジンが必要です。FAISSやWeaviate、Pineconeなどの主要なベクトル検索ツールを比較し、システム要件に合った選定ポイントを整理します。

 

4.3 コンテキストの整形とLLMへの統合

Retrieverから得られた情報をそのままLLMに渡しても、最良の出力は得られません。情報をどうまとめ、どのような形式でLLMに与えるか──つまり「プロンプト整形」は、生成結果の品質を大きく左右します。このセクションでは、その代表的な設計パターンと注意点を解説します。

 

4.4 セマンティック検索とキーワード検索の違い

RAGにおける検索は、従来のキーワード検索とは根本的にアプローチが異なります。このセクションでは、セマンティック検索の仕組みと、なぜRAGではこれが重要なのかを、ユーザー体験や応答精度との関係から論じます。

 

この章を通じて、読者はRAGという構造を「設計できる知識」へと具体化し、実際に構築するための土台を整えることができます。
次のセクション「4.1 埋め込みモデル(Embedding Model)」では、まず文書と質問を“意味空間”で扱えるように変換するための基盤、埋め込みモデルの仕組みと選び方から見ていきましょう。

公開日: 2025-02-16
最終更新日: 2025-05-25
バージョン: 3

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。

チーム

任 弘毅

株式会社レシートローラーにて開発とサポートを担当。POSレジやShopifyアプリ開発の経験を活かし、業務のデジタル化を促進。

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。