6.3 LLMのCI/CDパイプライン構築 | GitHub ActionsとJenkinsの活用

6.3 継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)

LLM(大規模言語モデル)の開発サイクルをスムーズにするためには、継続的インテグレーション(CI)継続的デリバリー(CD)の導入が不可欠です。CI/CDを活用することで、モデルのテスト、デプロイ、更新が自動化され、品質向上と迅速なリリースが可能になります。このセクションでは、GitHub ActionsやJenkinsを使ったCI/CDパイプラインの設定方法を解説します。

継続的インテグレーション(CI)の設定

継続的インテグレーションは、コードの変更がリポジトリにマージされるたびに、自動的にテストが実行されるプロセスです。以下は、GitHub Actionsを使ってCIを設定する例です。


# .github/workflows/ci.yml
name: CI Pipeline

on:
  push:
    branches:
      - main
  pull_request:
    branches:
      - main

jobs:
  test:
    runs-on: ubuntu-latest

    steps:
    - name: チェックアウトリポジトリ
      uses: actions/checkout@v2

    - name: Pythonをセットアップ
      uses: actions/setup-python@v2
      with:
        python-version: '3.10'

    - name: 依存関係のインストール
      run: pip install -r requirements.txt

    - name: テストの実行
      run: pytest tests/

この設定ファイルは、mainブランチへのプッシュやプルリクエストがトリガーされるたびに、依存関係のインストールとテストの実行を行います。

継続的デリバリー(CD)の設定

継続的デリバリーは、テストが成功した後に、モデルを自動的にデプロイするプロセスです。Jenkinsを使用してCDパイプラインを構築する例を以下に示します。


pipeline {
    agent any

    stages {
        stage('Checkout') {
            steps {
                git 'https://github.com/your-repo/llm-project.git'
            }
        }

        stage('Install Dependencies') {
            steps {
                sh 'pip install -r requirements.txt'
            }
        }

        stage('Run Tests') {
            steps {
                sh 'pytest tests/'
            }
        }

        stage('Deploy') {
            steps {
                sh './deploy.sh'
            }
        }
    }

    post {
        always {
            echo 'パイプライン終了'
        }
        success {
            echo 'デプロイ成功'
        }
        failure {
            echo 'テスト失敗'
        }
    }
}

このJenkinsファイルは、コードのチェックアウト、依存関係のインストール、テスト実行、そしてデプロイまでを自動で行います。

デプロイ戦略

CDを導入する際には、以下のデプロイ戦略が考えられます:

  • ブルーグリーンデプロイ: 現行バージョンと新バージョンを同時に用意し、問題がなければ新バージョンに切り替えます。
  • カナリアリリース: 少数のユーザーに対して新バージョンを展開し、問題がないことを確認してから全ユーザーにリリースします。
  • ロールバック戦略: 新バージョンに問題があった場合、即座に以前のバージョンに戻すことができます。

まとめ

CI/CDを導入することで、LLMの開発・デプロイサイクルが大幅に改善されます。GitHub ActionsやJenkinsを使った自動化パイプラインにより、品質保証が強化され、リリース速度が向上します。次のセクションでは、リアルタイム翻訳システムの実装について解説します。

次は「7.0 LLMを活用したリアルタイム翻訳システムの実装」です。ここでは、翻訳モデルの選定や最適化手法を紹介します。

公開日: 2024-11-23
最終更新日: 2025-04-30
バージョン: 1

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。