2.0 LLMの基礎概念 - 自然言語処理とトランスフォーマーモデルの解説

前のセクションでは、「本入門の目的と対象読者」について説明しました。ここではLLMの基礎概念を確認してみましょう。

2. LLMの基礎概念

LLM(大規模言語モデル)の成功は、自然言語処理(NLP)という分野の進展と密接に関係しています。NLPは、コンピュータが人間の言語を理解し、処理し、生成するための一連の技術や手法を指します。LLMはこのNLPの中でも、特に膨大なデータを基にして自然言語を扱うモデルであり、その規模や精度は従来の手法を大きく凌駕(りょうが)しています。

LLMの基本構造は、数十億から数兆のパラメータを持つニューラルネットワークに基づいています。特に、トランスフォーマーモデルは、その中核にある技術であり、セルフアテンションメカニズムを使用して効率的にテキストデータを処理します。このセクションでは、LLMがどのようにして膨大な言語データを扱い、どのようにその知識を獲得するのか、基本的な概念を紹介します。

  1. 自然言語処理(NLP)の概要

    自然言語処理(NLP)は、コンピュータが人間の言語を理解し、処理し、生成するための技術です。従来、コンピュータが扱うデータは構造化されたデータ(数値や表形式)に限られていましたが、NLPはテキストデータのような非構造化データを扱うことを可能にしました。

    NLPの代表的なタスクには、テキストの分類、機械翻訳、感情分析、テキスト生成などが含まれます。これらのタスクを高精度で実行できるのが、LLMをはじめとする最新のAI技術です。特にLLMは、膨大なテキストデータを基にした事前学習と、特定タスクに対するファインチューニングの2段階のプロセスで高い性能を発揮します。

  2. トランスフォーマーモデルの紹介

    トランスフォーマーモデルは、LLMの中核を成す技術です。特にそのセルフアテンションメカニズムによって、テキスト中の単語間の関連性を効果的に捉えることができます。このメカニズムは、単語が文脈に依存する意味を持つ場合に有効であり、テキストの意味理解において非常に高い精度をもたらします。

    トランスフォーマーのもう一つの強みは、その並列処理能力です。従来のリカレントニューラルネットワーク(RNN)とは異なり、トランスフォーマーは全ての単語の関係性を同時に処理するため、大規模なデータセットでも効率よく学習を進めることができます。これにより、LLMは従来のモデルに比べて非常に高いスケーラビリティと精度を実現しました。

次のセクションでは、「自然言語処理(NLP)の概要と数学的手法」に進み、NLPの技術やその数学的基盤について詳しく解説します。数理モデルに基づくアプローチで、NLPの基本概念をさらに掘り下げていきましょう。

公開日: 2024-10-06
最終更新日: 2025-02-03
バージョン: 3

下田 昌平

開発と設計を担当。1994年からプログラミングを始め、今もなお最新技術への探究心を持ち続けています。